「従業員が1〜5人程度だから、就業規則はまだいいのでは?」
このように考える経営者は少なくありません。
しかし、就業規則や雇用契約書が整っていないことが原因で労務トラブルが発生するケースは非常に多くあります。
特に小さな会社では、
・解雇トラブル
・残業代の認識違い
・勤務時間の管理不足
などが原因で、想定外のリスクが生じる可能性があります。
本記事では、小規模事業者でも最低限整備しておきたい「就業規則」と「雇用契約書」のポイントを、行政書士の視点からわかりやすく整理します。
就業規則は従業員10人未満でも作るべきか
結論から言うと、作成しておく方が望ましいです。
労働基準法では、
常時10人以上の従業員がいる会社は就業規則の作成と労基署への届出が義務
となっています。
つまり、
| 従業員数 | 就業規則 |
|---|---|
| 10人以上 | 作成+労基署届出が義務 |
| 10人未満 | 義務ではない |
しかし実務では、従業員1人でもルールの明文化は重要です。
理由は次の通りです。
- 労働条件の誤解を防ぐ
- 従業員とのトラブル防止
- 会社ルールの明文化
- 将来の従業員増加への備え
- 労働時間
- 休日
- 賃金
- 休暇
- 退職ルール
- 懲戒ルール
雇用契約書で必ず明示すべき労働条件
従業員を雇う場合、会社は労働条件を明示する義務があります。
これは労働基準法第15条で定められています。
特に重要なのが労働条件通知書(または雇用契約書)です。
必ず明示すべき事項
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 契約期間 | 無期か有期か |
| 就業場所 | 勤務地 |
| 業務内容 | 仕事内容 |
| 労働時間 | 始業・終業 |
| 休日 | 週休など |
| 賃金 | 給与計算方法 |
| 退職 | 解雇・退職のルール |
特に次の事項が重要です。
・就業場所・業務変更の範囲
・更新の有無(有期契約)
・更新上限の有無
労働条件通知書とは
会社が労働者に対して
「どのような条件で働くのか」を書面で通知するものです。
雇用契約書と一体化して運用されるケースも多いです。
小さな会社が整備すべきミニマム労務セット
すべてを完璧に整備するのは大変ですが、最低限この3つは揃えておくと安心です。
Step1 雇用契約書(労働条件通知書)
Step2 簡易版の就業規則
Step3 勤怠管理ルール
特に重要なのが勤怠管理です。
残業トラブルの多くは「勤務時間が記録されていない」ことが原因です。
就業規則は「完璧」より「運用できること」が重要
多くの小規模企業でよくあるのが、
「立派な就業規則を作ったが、実際は運用されていない」
というケースです。
例えば
・残業申請制度があるが誰も使っていない
・有給ルールが曖昧
・評価制度が機能していない
こうした状態では、就業規則があってもトラブルを防げません。
大切なのは会社の実態に合ったシンプルなルールを作ることです。


まとめ
小規模事業者でも、次の3つは整備しておくと安心です。
1 就業規則(簡易版でも可)
2 雇用契約書(労働条件通知書)
3 勤怠管理ルール
行政書士ツールラボ小さな会社ほど、労務ルールは後回しになりがちです。ですが、簡単な形でも就業規則や雇用契約書を整えておくことで、経営者も従業員も安心して働ける環境が作れます。無理のない範囲で少しずつ整備していくことが大切だと思います。





