現金の出し入れ、レシートの紛失、立替精算の遅れ——。
小さな事務所ほど「現金まわりの手間」が地味に効いてきます。
この記事では、小口現金を減らし、キャッシュレス中心へ移行する具体的な手順を、行政書士事務所にも一般の小規模事業者にもわかる形でまとめます。
※税務判断(経費性・税額計算など)は個別事情で変わるため、必要に応じて税理士等へご確認ください。
目次
まずは現状把握:「現金が必要な場面」を棚卸しする
いきなり小口現金をゼロにすると、現場で詰まります。
最初に“例外”を見える化します。
棚卸しチェック(過去1〜2か月分でOK)
- 現金で払ったもの(例:郵便、役所近くの駐車場、少額の備品、急ぎの交通費など)
- 立替が発生した理由(店が現金のみ/会社カードが無い/領収書が出ない等)
- 月あたりの小口現金の総額(だいたいでOK)
- “困る例外”の頻度(週1回なのか、月1回なのか)
この段階で決めること(最小限)
- 小口現金の上限(例:当面は「月○円まで」「金庫に常時○円まで」など)
- 現金を残す例外(例:現金のみ店舗、香典など用途が特殊、災害・緊急用)
- 事業用と個人用の分離(口座・カード・決済アプリを分けるのが基本)
支払いを統一する:会社カード+電子マネー+QR決済の組み合わせ
STEP
会社カード(法人/事業用カード)を“基準”にする
- 原則:備品・サブスク・出張交通・外注費など、カードで払えるものはカードへ寄せる
- メリット:明細が残る/連携しやすい/立替が減る
- 注意:上限設定、利用通知、2段階認証(2FA)など不正利用対策は必須
STEP
カードで拾えない支払いを、電子マネー/QRで埋める
- 交通系IC(例:Suica等):交通費・少額決済に強い
- QR決済(例:PayPay等):現金のみ店の代替になりやすい(※店舗側対応に依存)
- 原則:現金の代わりに“チャージ型”を用意しておくと、現金頻度が下がります
- 例:事業用口座→チャージ、または会社カード→チャージ(可否はサービスにより異なります)
STEP
振込・請求書払いは“ネット完結”へ寄せる
- 取引先に「請求書PDF+振込」へ統一(可能な範囲で)
- 銀行のネットバンキングを使い、支払記録を残す
- 可能なら支払承認フロー(少人数でも「自分でチェックする日」を固定)
・会社カード・決済アプリのログインは、パスワード使い回し禁止/2FA必須
・端末紛失時の停止手順(カード停止、アプリ凍結)をメモしておく
立替精算を減らす「ルール」と、領収書(証憑)を失くさない運用
キャッシュレス化の本丸は、精算ルールと証憑管理(領収書・レシート・請求書)です。
ここが曖昧だと、かえって混乱します。
立替を“例外”にするルール例
- 原則:立替は事前承認(口頭でもOK)
- 例外:緊急・現金のみ等(理由をメモ)
- 精算期限:例「原則○日以内」
- 精算方法:原則「事業用口座から振込」または「同月内でまとめて」
- 証憑:必ず提出(紙でも写真でも)
領収書・レシートの扱い(迷いやすいポイント)
- 受け取ったら、その場で撮影→クラウドへ(溜めない)
- 写真には「日付・金額・店名」が読めることが重要
- インボイス制度(適格請求書等保存方式)に関係する保存要件は取引により異なるため、運用設計は税理士等へ確認すると安心
「手順(番号付き)」
- 支払い(カード/IC/QR)
- レシート撮影(スマホ)
- メモ(用途・案件名)
- 会計ソフトへ連携/登録
- 月次で「漏れゼロ」チェック(明細と証憑の突合)
クラウド会計で“自動化”する:マネーフォワード等の連携と月次チェック
キャッシュレスと相性が良いのが、クラウド会計(例:マネーフォワード クラウド会計)です。
狙いは「入力を頑張る」ではなく、明細連携で“確認するだけ”に近づけることです。
連携の基本セット(小さな事務所向け)
- 銀行口座(事業用)
- 会社カード
- 電子マネー/決済サービス(対応範囲で)
- 領収書の画像取り込み(OCR機能がある場合は活用)
月次のチェック(15〜30分で終わる形にする)
- カード明細:未処理が残っていないか
- 銀行:入出金の説明がつくか(入金の名義・用途メモ)
- 証憑:画像が揃っているか(“後で探す”をなくす)
- 現金:残すなら、上限内か/例外払いが増えていないか
- 小口現金はゼロにすべき?
-
最初は“例外用に少額だけ残す”が現実的です。例外が減ってきたら段階的に縮小します。
- キャッシュレスだと使いすぎが心配
-
カード上限、利用通知、用途ルール、月次レビューの4点でコントロールしやすくなります。
- レシート保管が面倒
-
受け取った瞬間に撮影→クラウド。溜めない運用が最もラクです。
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