オフィスで新しいプリンターを導入する際、「レーザーにするかインクジェットにするか」で迷うことは少なくありません。
特に行政書士業務では、申請書類、複写、調査資料、裁判資料などで印刷枚数が膨らむことも多く、印刷コスト・耐久性・速度などを考慮する必要があります。
ここでは、月間印刷枚数を基準として、どちらが適するかを見極める視点を提供します。
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目次
レーザー印刷 vs インクジェット印刷:基本比較
重要キーワード:レーザープリンター、インクジェットプリンター、印刷コスト、印刷速度、耐久性
| 比較項目 | レーザー(トナー方式) | インクジェット(液体インク方式) |
|---|---|---|
| 印刷原理 | トナー(粉末状)を定着させて印刷 | 液体インクを紙面に吹き付ける方式 |
| 印刷速度 | 高速(特にモノクロ) | 中~高速(機種により異なる) |
| 初期コスト | やや高め | 低~中価格帯が多い |
| ランニングコスト | トナー単価/ドラム寿命を考慮 | インク(特にカラー)は消耗が激しいことも |
| カラー表現 | キレがありくっきり(特に文字・罫線に強い) | 写真・グラデーション表現に強みあり |
| メンテナンス性 | 比較的メンテナンス頻度は低め | インクトラブル(ノズル詰まりなど)に注意 |
| 用紙対応性 | 厚紙対応や多枚数印刷に強いものあり | 写真用紙や特殊紙対応機多数あり |
月間印刷枚数の目安ライン
印刷枚数を一つの指標にして機種を選ぶと、失敗が少ないです。
| 月間枚数目安 | 推奨方式 | コメント |
|---|---|---|
| ~ 500枚程度 | インクジェット | 消耗インクが抑えられ、初期投資を抑えられる |
| 500〜2,000枚 | 中間領域 | 高性能インクジェット、あるいはライトなレーザー機が選択肢 |
| 2,000枚以上 | レーザー | 定番機、ドラム/トナー耐久性を生かせる |
レーザー方式のメリット・デメリット
メリット
- 大量印刷耐性:トナー・ドラム耐久性に優れる
- 高速印刷性能:特にモノクロ/テキスト文書で強み
- 印字の安定性:用紙ズレや滲みに強い
- 長期保存性:トナーは水・光に比較的強い
デメリット
- 初期投資が高めになることがある
- カラー写真表現では限界あり
- 機械構造が複雑な場合、修理費用が高くなる可能性あり
- 一部レーザー機はフチなし印刷に非対応
インクジェット方式のメリット・デメリット
メリット
- 初期機器価格が比較的抑えられる機種多数
- 写真・グラフィック表現力に優れる
- 小ロット・少量印刷ではコストが有利になることも
- 多機能機(スキャナ・コピー)との複合性能が充実しているものが多い
デメリット
- インク消耗・ノズル詰まりリスク
- 長期未使用期間での目詰まり(使用頻度が低い部署では要注意)
- 大量印刷時の印刷速度・耐久性に限界
- インクの揮発性や乾燥不良の可能性
選定チェックリスト + おすすめ機種例
選定チェックリスト
- 月間印刷枚数に見合っているか
- トナー/インクのランニングコスト(1枚あたり単価)
- 用紙対応性(厚紙、特殊紙、長尺、両面など)
- メンテナンス性・故障リスク
- 置き場所(給紙トレイ構成、設置スペース)
- 継続使用性(消耗品価格・入手性)
おすすめ機種例(2025年時点)
- Brother HL‑L3240CDW
A4カラー対応のカラーレーザープリンター。テキスト系資料出力とカラー資料の混在業務にも対応。 - Brother HL‑L2400D
モノクロレーザー機。文書中心でカラー印刷がほとんど不要な部署向けのシンプル高耐久モデル。 - Canon PIXUS TS3730
A4 インクジェット複合機。手軽な価格帯ながら無線LAN・自動両面印刷なども搭載。 - Epson Colorio EW‑056A
低価格帯のカラーインクジェット複合機。コンパクト設計が魅力。
まとめ
「レーザーかインクジェットか」を決める際、月間印刷枚数という指標は非常に実践的です。
少量印刷中心ならインクジェット機で初期費用を抑えつつ、必要に応じて高性能モデルを選ぶ。
大量印刷=2,000枚前後以上ならレーザー方式がトータルコスト・耐久性で有利になる可能性が高くなります。

行政書士業務において、コピー機故障は業務停止に直結します。選定ミスを避けるため、この基準を念頭において機材導入を検討してください。









