出先対応:モバイルスキャナー&スマホスキャンの限界ライン

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モバイル機の得手不得手(いつ使う?いつ避ける?)

向いている
  • 現地で“すぐPDF化”して共有したい(申請書の下書き、本人確認書類の控え 等)
  • A4片面〜両面の少量(数枚〜十数枚)を確実な矩形で取りたい
  • 領収書・レシートの連続取り込み(キャリアシート併用で安定)
避けたい/据置きに回したい
  • 厚み・枚数のある束処理(100枚単位)
  • 原本返却前の最終アーカイブ(OCR精度・PDF/A・版管理を含む)

現行モバイルの代表例

  • Brother MDS-940DW
    • 両面(デュプレックス)
    • 無線LAN/内蔵バッテリー
    • AC電源なしでも使え、約320枚連続スキャンの目安
    • 外出先運用に強い。
  • ScanSnap iX100
    • 超軽量(約400g)
    • Wi-Fi・バッテリー内蔵の片面モバイル。
    • 約5.2秒/枚(A4・300dpi・カラー)で単票の取り回しが良い。

スマホ撮影で通用する条件(ここを満たせば“業務OK”)

  • 光量:室内でも1000lx程度を目安(天井直下+卓上ライト)。影を作らない配置。
  • 幾何真上から平行に、四隅が等しい台形になるように。台形補正アプリ任せにしない。
  • 解像度300dpi相当を確保(A4全体が1500〜2000px以上)。
  • 被写体シワ・反り・綴じ影下敷き+押さえで矯正。
  • 出力モノクロ化+コントラスト強調の“文書モード”を使用。
  • 機密自分の端末だけに残らないよう即クラウド保管(業務アカウント)へ。

dpi=解像度の単位(dots per inch)。
300dpiで一般的な読取+OCRに実務十分。

色ムラ・歪み対策(スマホ/モバイル双方の“画質の型”)

  • 色ムラ
    • スマホは蛍光灯ムラ・ホワイトバランスのブレが起きやすい。白い下敷き均一照明文書モードで抑える。
    • モバイル機は一定光源+CISで安定。白紙削除/自動傾き補正/自動回転をON(アプリ側設定)。
  • 台形歪み
    • スマホは四辺が平行になるよう撮影。自動補正の過補正=文字のにじみに注意。
    • モバイル機は給紙まっすぐ→ローラー清掃で搬送の蛇行を防止。
  • OCR精度の底上げ
    • 300dpi/グレー(文字中心)、300dpi/カラー(印影・色票)を使い分け。
    • 重要文書は目視検品(氏名・数字・住所など固有名詞が読めるか)→不合格は再取り

署名・押印書類の扱い(原本性と再現性)

  • 依頼者の直筆署名・押印を含む書類は、スマホ撮影のみで完了としないのが安全。
  • 出先ではモバイル機で300dpiカラー(印影や薄墨が残る設定)→事務所で最終アーカイブ(OCR見直し+PDF/A+版管理)。
  • 微細な朱肉/にじみはスマホだと照明・圧縮の影響で潰れやすい。モバイル機>スマホの優先順位。
  • 原本返却前チェック:OCR検索(氏名・金額・住所)でヒットするか/印影の欠けがないかを5枚抜取り検査

ScanSnap iX100は片面運用のため、両面原稿はUターン再投入で撮り忘れに注意。

現場→事務所のデータ受け渡し(“消える”をゼロに)

推奨フロー

  1. 出先でモバイル機→OCR付きPDF(仮)を作成
  2. 共有クラウド(業務アカウント)へ即アップ
  3. 事務所でファイル名テンプレに沿って正式命名
    YYYYMMDD_案件_書類_vNN.pdf
  4. PDF/Aへ書出し(最終保存)+週次スナップショット(外付けSSD)
  5. 復元テスト:月1で任意案件を丸ごと復元して開けるか確認

コピー機やスキャナが止まると仕事が止まる
出先ではモバイル機で即PDF→事務所でPDF/A+命名+二重化の二段構えにしてから、手戻りゼロ/検索時間ゼロに近づきました。

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この記事を書いた人

地方在住の行政書士。令和4年の開業以来、事業者・不動産関連の許可申請を中心に、年間150件以上の案件に対応。ひとり事務所ながら、スピードと信頼性を両立した実務力で、地域の信頼を獲得。
「行政書士|ツールラボ」監修

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