目次
なぜ「報酬表」があると値下げされにくいのか
行政書士の値下げ交渉が起きやすい一番の原因は、「価格の根拠」が相手に見えないことです。
報酬表(料金表)を整えると、次の効果が出ます。
- 説明がブレない:誰が対応しても同じ基準で見積できる
- 比較されにくくなる:単純な“最安比較”から“内容比較”へ移る
- 交渉の論点が明確:「値引き」ではなく「業務範囲の調整」に誘導できる
ここでいう報酬表は、「ホームページに載せる料金表」だけでなく、見積の社内基準(ルールブック)も含みます。公開用はシンプルに、内部用は細かく。これが値下げ防止の基本設計です。
報酬表の作り方:値段より先に“項目”を決める
STEP
業務を「商品」に分解する
まず、業務を以下の3層に分けます。
- 基本報酬(ベース):標準的な案件で共通の作業
- オプション(加算):難易度・量・リスクで増える作業
- 実費:収入印紙、証紙、登記情報、郵送費など(※報酬ではなく立替)
STEP
見積の「増減条件」を文章で固定する
値下げされない報酬表の要は、金額そのものよりも条件の言語化です。
- 加算条件(何が起きたら、どれくらい増えるか)
- 追加費用が出る代表例(資料不足、遠方、関係者多数、修正回数など)
- 返金・キャンセル(着手後の扱い)
- 期限(特急・短納期の扱い)
STEP
公開用の「料金表」は“型”を統一する(見やすさ優先)
公開用は、細かい計算式よりも「安心して依頼できる表現」に寄せます。
- 料金の構成:基本報酬+実費+(必要に応じて)加算
- 表記:「〜円から」+条件の例示(※例示がないと不信感が出ます)
報酬表(参考)
| 業務メニュー | 基本報酬 | 実費 | 加算条件(例) | 目安期間 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 例:許認可申請(標準) | 〇〇円〜 | 別途 | 追加資料作成/関係者多数/補正対応増など | 〇週間〜 | 事前相談・要件確認を含む |
| 例:契約書作成(標準) | 〇〇円〜 | なし | 条項数増/修正回数/スピード対応 | 〇日〜 | ヒアリング1回+修正〇回まで |
| 例:内容証明(標準) | 〇〇円〜 | 郵送等 | 文案作成/交渉経緯整理/証拠整理 | 〇日〜 | 送付先数で加算 |
値下げ交渉に振り回されない「見積ルール」と断り方
値下げを断るときに重要なのは、「No」ではなく“条件を変えれば価格は変わる”の形にすることです。
価格そのものを下げるのではなく、業務範囲を調整します。
値下げ交渉を減らす見積ルール
- 見積書は必ず「作業範囲(含む/含まない)」を明記
- 追加作業は「事前に増額見積」してから着手
- 値引きは原則しない(例外を作ると基準が崩れる)
- 代替案は「値引き」ではなく「ライトプラン」「セルフ対応」「納期延長」
値下げを断る(やさしい)文例
- 「恐れ入りますが、当事務所は業務範囲とリスクに応じた報酬設定のため、同一内容での値引きは行っておりません。もしご予算が決まっている場合は、作業範囲を調整したプランをご提案できます。」
- 「料金は、要件確認・書類作成・補正対応など一連の責任範囲を含めて算定しています。費用を抑える場合は、こちらで行う作業を絞り、お客様側でご準備いただく範囲を増やす形で調整可能です。」
なぜ安くできないの?
- 行政手続は、提出書類の正確性だけでなく、要件確認・期限管理・補正対応など見えにくい作業が多い
- 「万一の差戻し・不許可リスク」を減らすため、経験に基づく確認工程が入る
- つまり、値段は“書類1枚”ではなく、ミスを防ぐ設計込みで決まります
参考文献紹介
値上げ・セット化で「安売りせず受任」する設計
価格を上げても選ばれる「セット化」3パターン
- 工程セット:相談+要件整理+申請+補正対応までを一括
- 書類セット:関連する届出・付帯書類をまとめて一括(例:本申請+変更届)
- 予防セット:チェックリスト・事前診断・書類レビュー込み(安心を商品化)
3プラン例
| プラン | 対象 | 含まれる内容(例) | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| ライト | 予算重視 | 必須書類中心/修正回数少なめ | 自分で準備できる |
| スタンダード | 標準 | 要件確認+作成+提出+補正対応 | 一般的な依頼 |
| プレミアム | 安心重視 | 事前診断+関係者調整+短納期+優先対応 | 急ぎ/複雑案件 |
見積・請求の運用で、値下げ交渉はさらに減る
値下げ交渉が増える事務所ほど、見積が「口頭・メモ・都度作成」になりがちです。
そこで、クラウド請求書・見積書・納品書管理サービス Misoca(みそか)のようなツールを使うと、
- テンプレ化で見積のブレが消える
- 「含む/含まない」を定型文で入れられ、交渉の余地が減る
- 請求・入金管理まで一貫し、値下げ以外の業務ストレスが減る
という形で、価格戦略が“運用として定着”しやすくなります。
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行政書士ツールラボ見積書や請求書の運用を整えると、料金説明がぶれず、値下げ交渉も自然と減ります。まずは仕組み作りから一緒に。
報酬表は「金額表」ではなく、業務範囲・加算条件・実費・運用ルールを含む“価格の設計図”です。値下げを避けたいなら、値引き禁止を掲げるより先に、見積の型(テンプレ)と代替プラン(セット化)を用意しましょう。これだけで、交渉の主導権は戻せます。



