スモールビジネスのバックオフィス設計:経理・法務・総務を仕組み化して“社長の手”を空ける

小さな会社ほど「売上を作る人=バックオフィスも回す人」になりがちです。
そこで本記事では、経理・法務・総務を分けて考えつつ、ツールと外注を組み合わせて“必要最小限”で回る仕組みを、行政書士目線でわかりやすく整理します。

目次

まず全体像:バックオフィスは「3領域×頻度」で設計する

バックオフィスは、やみくもに頑張るより「分けて・頻度で切って・担当を決める」と一気にラクになります。

3領域(経理・法務・総務)で“責任範囲”を切る

  •  経 理 :お金の出入りを記録し、締めて、数字を読める状態にする(請求・入金・支払・記帳・月次)
  •  法 務 :契約・規程・証拠を整え、トラブルを未然に防ぐ(契約書・規約・合意書・保管)
  •  総 務 :人・情報・備品・外注の窓口(労務の入口、IT管理、社内ルール、アカウント管理)

頻度(毎日・毎週・毎月・年1回)で“タスクの置き場所”を決める

  •  毎 日 :入金確認/レシート回収/問い合わせ一次対応
  •  毎 週 :請求書発行/支払予定の確認/契約書の整理
  •  毎 月 :月次締め(売上・経費・資金繰り)/定例の外注チェック
  •  年1回 :決算・申告準備(税理士領域が中心)/規程や保険の見直し

最小構成のゴール(この状態になれば“勝ち”)

  • どこに何があるか」迷わない(データの置き場が固定)
  • いつ何をするか」迷わない(締め日・作業日が固定)
  • 誰に頼むか」迷わない(外注先・相談先が固定)

経理を仕組み化:入力を減らし、月次で締める(クラウド会計×外注で最短化)

経理で重要なのは“正確さ”と同じくらい「入力を減らす設計」です。
小規模ほど、ここで差がつきます。

経理の最小フロー(おすすめ)
  1. 請求:請求書テンプレを統一(発行日・支払期限・振込先・但書きを固定)
  2. 入金:入金は“週2回だけ”確認などルール化(毎日見ない)
  3. 支払:支払日は月2回に寄せる(例:10日・25日)
  4. 記帳:領収書は“集め方”を統一(紙→スキャン/電子→フォルダ)
  5. 月次締め:毎月○日を“締め日”に固定(翌月に持ち越さない)

ツールの考え方

  • マネーフォワード クラウド会計:銀行・カード連携で仕訳の手入力を減らし、月次を“締めやすく”する方向に強い
    • 目的は「会計を完璧にする」より“数字が見える状態を継続する”こと
  • 書籍で土台を作る(社内に“共通言語”ができます)
    • 『世界一やさしい 会計の教科書 1年生』:経理が苦手でも「用語と考え方」をつかみやすい
    • 『会社は「本」で強くなる(読書経営)』:小さな組織で“仕組みを浸透させる”ヒントが多い

外注の切り分け(間違えにくい考え方)

  • 自社でやる:請求書発行/入金確認/支払承認(=お金を動かす判断)
  • 外注しやすい:記帳代行/領収書整理/月次のたたき台作り
  • 専門家に相談:決算・申告・税務判断(税理士領域)
    ※行政書士としても、税務の個別判断は税理士領域となるため、運用設計と書類整備の支援に寄せるのが安全です。
チェックリスト
  • 請求書テンプレを1つに統一
  • 入金確認は週○回に固定
  • 支払日は月○回に固定
  • 領収書の集め方(紙/電子)を統一
  • 月次締め日をカレンダーに固定

法務を仕組み化:契約・規程・証拠を“型”で残す

小さな会社の法務は、難しいことを増やすより「定番の型を用意して、保存ルールを決める」のが最優先です。

最低限そろえたい“契約の型”(スモールビジネス向け)

  • 業務委託契約書(外注・ココナラ活用時も含む):成果物/報酬/検収/秘密保持/著作権/再委託/解除
  • 秘密保持契約(NDA):先に情報を出す前に
  • 利用規約・プライバシーポリシー(サイト運営がある場合)
  • 請負契約書(納品型の仕事が多い場合)

※行政書士は契約書などの書類作成・条項整備の支援が可能です。一方、紛争性が高い案件(相手方と争いが見えている等)は弁護士の領域なので、早めに切り分けるのが安全です。

“保存ルール”が9割

  • ファイル名のルールYYYYMMDD_取引先_契約名_最終版
  • 保管場所:契約書は1フォルダに集約(案件フォルダに散らさない)
  • 証拠の残し方:合意はメール/チャットでも「要点・日付・相手の同意」を残す
  • 更新管理:契約期限・自動更新はカレンダー通知(更新漏れを防ぐ)
ポイント(社内ルール例)
  • 契約は「作る」より「同じ場所に保存する」を最優先
  • 合意は“あとで説明できる形”で残す(要点+日付+相手同意)
  • 期限・更新はカレンダー通知で機械的に管理

総務を仕組み化:人・情報・外注を一本化(社内の“窓口”を作る)

総務は範囲が広いので、最小化のコツは“窓口を一本化して、台帳で管理する”ことです。

最小で回す総務の型
  • アカウント台帳:メール/クラウド/銀行/EC/ドメイン等(ID・権限・復旧手段)
  • 外注先台帳:誰に何を頼むか(契約・単価・納期・連絡先・守秘)
  • 備品・固定費台帳:サブスク/リース/通信費(解約日・更新日)

外注(ココナラ等)の使いどころ

  • 依頼しやすい:画像作成、資料整形、文字起こし、入力代行、LP/バナー、簡易マニュアル作成
  • 注意点:秘密情報はマスキング/契約(業務委託・NDA)を先に整える/成果物の権利帰属を明確化
  • “依頼文テンプレ”を作ると毎回ラクになります(目的・納期・成果物定義・修正回数)

行政書士ツールラボ

バックオフィスは「全部自分で」より、ツールと外注で“回る形”を作るのが近道です。無理のない仕組みから一緒に整えましょう。


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この記事を書いた人

地方在住の行政書士。令和4年の開業以来、事業者・不動産関連の許可申請を中心に、年間150件以上の案件に対応。ひとり事務所ながら、スピードと信頼性を両立した実務力で、地域の信頼を獲得。
「行政書士|ツールラボ」監修

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