外注(業務委託)を始めると、「言った・言わない」「追加作業の押し付け」「納品物の権利」「支払・検収」で揉めやすくなります。そこで本記事では、行政書士目線で、トラブルを未然に防ぐために契約書で押さえるべき条項を整理します。
まず押さえる前提:業務委託は「雇用」と違う
業務委託は、原則として成果(納品)や役務提供に対して報酬を支払う契約です。雇用(労働契約)のように、発注側が細かく指揮命令して勤務させる形になると、「実質は雇用では?」(労働者性)が問題になり得ます。
そのため最初に、次の線引きを意識しましょう。
- 指揮命令をしない
-
勤務時間・場所を固定しすぎない(必要な場合は理由・範囲を限定)
- 成果物・作業範囲を明確化
-
どこまでが契約内で、どこからが追加か
- 検収・修正回数・期限
-
無限修正を防ぐ
加えて、フリーランスへの発注では、取引条件の明示や支払期日などのルールが定められています(いわゆるフリーランス新法:フリーランス・事業者間取引適正化等法)。発注時に取引条件を明示し、支払期日は受領日から60日以内で、できる限り早い日に設定するなどの考え方が示されています。
契約書チェックリスト:揉めやすい条項はここ
業務の範囲(スコープ)と成果物の定義
- 業務内容:何を、どこまで、どの水準で行うか
- 成果物:納品物(ファイル形式・仕様・分量・仕様書の有無)
- 対象外業務:SNS投稿は含む?画像作成は別?など「やらないこと」も明記
- 追加作業(変更管理):追加は別見積/単価表/事前承認制
納期・検収(チェック)・修正
- 納期:中間納品(マイルストーン)を設けると事故が減ります
- 検収期間:例)納品後○営業日以内に検収結果通知、無通知は合格扱い等
- 修正回数・範囲:軽微修正は○回まで、仕様変更は別対応、など線引き
報酬・支払条件(トラブル最多)
- 報酬額:税込/税抜、源泉徴収の要否(※業務内容により取扱いが異なるため慎重に)
- 支払期日:請求締日・支払日、支払方法、振込手数料負担
- 遅延対応:遅延損害金、支払遅延時の業務停止可否
※支払期日は「○日以内」など曖昧だと紛争要因になりやすい点が注意喚起されています。
秘密保持(NDA)・個人情報
- 秘密情報の範囲:口頭情報、顧客情報、ノウハウ、仕様書、ID/PW等
- 例外:公知情報、受領前から保有、第三者から適法に入手
- 個人情報:委託の有無、目的、再委託時の管理、漏えい時の報告義務
“盲点”になりやすい重要条項:権利・再委託・責任
著作権・知的財産(成果物の利用権)
外注で制作した文章・画像・ロゴ・プログラム等は、「納品された=自由に使える」ではありません。
- 権利帰属:譲渡/利用許諾(独占か非独占か)
- 二次利用:発注者が改変して使えるか、実績公開の可否
- 素材の権利:フォント・写真・AI生成物の扱い、第三者権利侵害の回避
再委託の可否(丸投げ防止)
- 再委託可/不可、可の場合は事前承諾・管理責任・守秘義務の連鎖
- 再委託が起きやすい業務(動画編集・デザイン等)は特に明確化
損害賠償・免責(“無限責任”を避ける)
- 賠償範囲:直接損害に限定/間接損害(逸失利益等)を除外
- 上限:報酬総額を上限とする等(業務実態に合わせ調整)
- 瑕疵対応:修補(修正)を優先、賠償は最終手段にする設計が一般的
契約解除・途中解約(炎上を防ぐ出口設計)
- 解除事由:重大な契約違反、支払遅延、反社該当、信用不安等
- 途中解約:成果物の引渡し範囲、既作業分の精算、データ返却
実務で“運用できる契約”にするコツ+電子契約
契約は、立派な文章よりも運用できる形が重要です。
- 発注前に仕様(スコープ)を1枚に整理:成果物・納期・検収・修正範囲
- 連絡ルールを決める:連絡手段、返信目安、打合せ頻度、議事メモの残し方
- 証跡を残す:追加依頼はチャットでも良いので「金額・納期・範囲」を都度合意
そして、契約締結をスムーズにする手段として、クラウド型の電子契約も有効です。
印刷・押印・郵送の手間を減らし、履歴(ログ)も残しやすいため、外注が増えるほど効率化につながります。



行政書士ツールラボ外注を増やすほど、契約と運用の“型”があなたの味方になります。電子契約も上手に使い、安心して任せられる体制を整えましょう。
※免責:本記事は一般的な情報提供であり、個別案件の法的助言ではありません。契約内容は業務実態・取引関係により最適解が変わるため、重要案件は専門家へご相談ください。





