行政書士の仕事は、許認可申請、契約書作成、内容証明、法人手続など、どうしても「単発で終わる業務」が多くなりやすいです。
しかし実際には、業務完了後にも「更新時期の管理をしてほしい」「変更届の要否を相談したい」「ちょっとした確認を継続して頼みたい」というニーズが少なくありません。
そこで考えたいのが、顧問契約・継続支援サービスです。
ここでいう顧問契約とは、毎月一定額で、相談・面談・チャット・期限管理などの支援を継続して提供する仕組みのことです。
単発業務だけでなく継続支援の入口をつくっておくと、売上の安定化につながるだけでなく、お客様にとっても「困ったときにすぐ相談できる安心感」が生まれます。
顧問契約・継続支援サービスが行政書士に向いている理由
行政書士の業務は、官公署に提出する書類、権利義務に関する書類、事実証明に関する書類の作成や相談が中心です。したがって、単に「書類を1回作って終わり」にするのではなく、その後の運用、変更、更新、記録整理まで含めて支援しやすい分野があります。なお、他法令で制限される業務は扱えないため、サービス設計でも業務範囲の整理は必須です。
・建設業、産廃、運送業、飲食業などの許認可更新・変更届が発生しやすい業種
・法人のお客様の定款、議事録、契約書、社内書類の整備支援
・補助金申請後の実績報告、保管書類の整理、次回申請準備
・農地、土地活用、相続関連で、継続的に資料整理や関係者調整が必要な案件
・小規模事業者の「誰に相談したらよいかわからない」実務相談の受け皿
継続支援が向いている理由は、単に毎月売上が入るからではありません。
大きいのは、お客様の不安を先回りして減らせることです。
単発の申請が終わっても、お客様はその後に次の不安を抱えます。
「変更届は必要か」「更新期限はいつか」「契約書はこのままでよいか」「この書類は保存しておくべきか」といった細かな不安です。
この部分に対して、月額で伴走するメニューを作ると、価格競争に巻き込まれにくいサービスになります。
行政書士ツールラボ「申請して終わり」ではなく、
“申請後も安心して進められる体制”を売る
という発想に切り替えるのがポイントです。
行政書士の顧問メニューは「何を毎月やるか」を先に決める
顧問メニューを作るときは、次の3つに分けると整理しやすいです。
- (1)定期確認型
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毎月または隔月で状況を確認するタイプです。
例としては、月1回のオンライン面談、月1回の進捗確認、更新予定の確認などです。 - (2)随時相談型
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チャットやメールで、軽い質問や確認を受けるタイプです。
「変更届が必要ですか」「この書類は出した方がいいですか」といった、短時間で済む相談を受ける形です。 - (3)実務補助型
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期限管理、書類のひな型提供、必要資料の案内、社内書類の一次チェックなど、実際の手を動かす支援を含めるタイプです。
・面談回数:月1回か、隔月1回か
・相談手段:チャット、メール、Zoom
・対応範囲:相談のみか、書類確認まで含むか
・上限:月○件まで、月○時間まで
・対象:既存顧客限定か、新規でも申込可能か
・除外項目:申請代理、現地調査、長文契約書作成などは別料金にするか
顧問メニューの例
- ライトプラン
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・月1回のチャット相談まとめ回答
・更新期限の管理
・軽微な質問への回答
・月額11,000円〜22,000円程度を目安に設計 - スタンダードプラン
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・月1回のオンライン面談
・チャット相談
・必要書類の案内
・変更届や更新手続の要否整理
・月額33,000円〜55,000円程度を目安に設計 - 継続支援プラン(事業者向け)
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・月1回〜2回の面談
・チャット相談
・契約書や社内書類の一次整理
・許認可スケジュール管理
・案件ごとの実務支援は一部別料金
・月額55,000円以上で個別設計
金額は地域性、対象業種、対応頻度で大きく変わるため、あくまで設計例です。
重要なのは、安く広く受けることではなく、無理なく回せる範囲を定義することです。
失敗しない料金設定と契約条件の決め方
そこで、料金設定では次の点を明確にしておくことが大切です。
・月額料金に含まれるもの
・含まれないもの
・面談回数
・相談の返信目安
・資料確認の分量上限
・申請書作成や現地対応の追加料金
・契約期間と解約方法
・チャット相談は月10件まで
・返信は2営業日以内を目安
・Zoom面談は月1回・60分まで
・申請書類の新規作成、代理提出、現地立会いは別料金
・緊急案件は特急加算あり
・契約は3か月または6か月更新
・未使用分の面談や相談枠は翌月繰越なし
継続支援サービスでは、見えない業務を見える化する工夫も大切です。
たとえば、月1回の報告メモ、対応履歴の共有、次月の予定一覧などを出すだけでも、お客様は「毎月お願いしている意味」を感じやすくなります。
単発業務から継続契約へ自然につなげる流れ
「今回の申請は完了しましたが、今後は更新期限の管理、変更届の判断、関連書類の整理が必要になることがあります。必要に応じて、月額の継続サポートもご用意しています。」
この一言があるだけで、「売り込み」ではなく「その後の安心の提案」になります。
継続契約につなげるには、次の3つを用意しておくと実務で使いやすいです。
- (1)サービスページを作る
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「顧問契約」「継続支援」「月額サポート」などの名称で、対象者、内容、料金の考え方をまとめたページを作っておきます。
- (2)単発業務の完了時に案内文を渡す
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業務完了メールや納品時に、「継続サポートのご案内」を1段落入れておくと自然です。
- (3)既存顧客向けの限定メニューにする
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最初は新規募集よりも、一度依頼を受けたお客様限定で始めた方が設計しやすく、ミスマッチも起こりにくいです。
継続支援サービスの案内ページに入れたい文言例
「申請後の変更対応・期限管理・日常的な確認まで、必要な範囲で継続サポートします」
最後に大切なのは、顧問契約を「何でもやる便利屋」にしないことです。
行政書士の専門性が活きるのは、書類・手続・許認可・記録整理・継続的な運用支援を、わかりやすく仕組みにして提供する場面です。
単発業務の延長として設計すれば、無理なく、そしてお客様にも伝わりやすい継続サービスになります。







継続支援は、高額な仕組みを一気に整えなくても大丈夫です。面談方法、案件管理、連絡手段を少しずつ整えるだけでも、お客様にとって安心できる顧問サービスに育っていきます。





