行政書士事務所や小規模事業者の経営では、日々の業務に追われて「今月いくら売上があるのか」「利益はどれくらい残っているのか」「案件数は増えているのか」を後回しにしてしまいがちです。
しかし、経営数値を見える化しておくと、感覚ではなく数字にもとづいて事務所経営を判断しやすくなります。
この記事では、行政書士向けに、Excelやスプレッドシートで作れるシンプルな経営管理表・経営ダッシュボードの項目とテンプレート例を紹介します。
なぜ行政書士事務所に「経営数値の見える化」が必要なのか
行政書士業務は、許認可、契約書、相続、法人設立、記帳代行など、案件ごとに単価・作業量・入金時期が異なります。
そのため、売上だけを見ていると、実際の経営状態を正確に把握できないことがあります。
たとえば、次のような状態です。
・売上はあるが、外注費や交通費を差し引くと利益が少ない
・案件数は増えているが、低単価案件が多く忙しいだけになっている
・入金予定を把握しておらず、資金繰りが不安定になる
・どの業務分野が利益に貢献しているか分からない
・広告費や紹介料を使っているが、回収できているか分からない
行政書士事務所の経営管理では、難しい会計分析よりも、まずは「売上・利益・案件数・入金予定」を一覧で確認できる状態にすることが重要です。
特に一人事務所や小規模事務所では、経営者自身が実務も営業も経理も担当することが多いため、複雑な管理表を作ると続きません。
最初は、ExcelやGoogleスプレッドシートで十分です。
毎月の数字を簡単に入力し、事務所の状態をひと目で確認できるようにするだけでも、経営判断の精度は大きく変わります。
シンプルな管理表で見るべき基本項目
経営管理表は、最初から細かく作り込みすぎないことが大切です。
行政書士事務所であれば、まずは次の項目を管理すると実用的です。
| 管理項目 | 内容 | 見るべきポイント |
|---|---|---|
| 売上 | 請求済み、または売上計上した金額 | 月別・業務別に増減を確認する |
| 入金額 | 実際に入金された金額 | 資金繰りと未入金の確認に使う |
| 経費 | 広告費、外注費、交通費、システム利用料など | 固定費が増えすぎていないか確認する |
| 利益 | 売上から経費を差し引いた金額 | 忙しさに対して利益が残っているかを見る |
| 案件数 | 受任件数、完了件数、相談件数など | 業務量と売上のバランスを見る |
| 平均単価 | 売上 ÷ 案件数 | 低単価案件に偏っていないか確認する |
| 業務区分 | 建設業許可、農地転用、記帳代行など | どの業務が収益の柱か把握する |
| 入金予定日 | 請求後の入金予定日 | 未回収や資金繰りの確認に使う |
特に重要なのは、「売上」と「入金額」を分けて見ることです。
請求書を発行していても、まだ入金されていない場合は、手元資金としては使えません。経営判断をする際には、売上だけでなく、入金予定や未入金額も確認しておく必要があります。
また、行政書士業務では、業務分野ごとの収益性も重要です。
たとえば、同じ30万円の売上でも、短時間で完了する業務と、何度も修正や調整が発生する業務では、実際の利益率が異なります。
そのため、可能であれば管理表に「業務区分」と「作業時間の目安」も入れておくと、将来的に単価見直しや業務整理に役立ちます。
会計データの整理には、マネーフォワード クラウド会計のようなクラウド会計ソフトを使うと、預金・クレジットカード・請求書データの確認がしやすくなります。最初はExcelで管理し、必要に応じてクラウド会計と併用する形でも十分です。
Excel・スプレッドシートで作る経営ダッシュボードのテンプレート例
管理表は、入力用シートと確認用シートを分けると使いやすくなります。
入力用シートには、日々の案件や売上を記録します。確認用シートでは、月別の売上、利益、案件数を集計し、経営ダッシュボードとして確認します。
【入力用シート】
| 日付 | 顧客名 | 業務区分 | 案件名 | 請求額 | 入金額 | 経費 | 利益 | 状態 | 入金予定日 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 4/1 | A社 | 建設業許可 | 更新申請 | 110,000 | 110,000 | 5,000 | 105,000 | 完了 | 4/10 |
| 4/5 | B様 | 農地転用 | 5条許可 | 165,000 | 0 | 10,000 | 155,000 | 請求済 | 4/30 |
| 4/8 | C社 | 記帳代行 | 月次処理 | 22,000 | 22,000 | 0 | 22,000 | 完了 | 4/20 |
【確認用ダッシュボード】
| 月 | 売上合計 | 入金合計 | 経費合計 | 利益合計 | 案件数 | 平均単価 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 4月 | 297,000 | 132,000 | 15,000 | 282,000 | 3 | 99,000 |
このような簡易シートであれば、難しい関数を使わなくても始められます。
慣れてきたら、次のような項目を追加すると、より経営判断に使いやすくなります。
・業務別売上ランキング
・紹介元別の売上
・広告費と受任件数の関係
・継続案件とスポット案件の比率
・未入金一覧
・月別の売上推移
・利益率の高い業務分野
ただし、最初から完璧な管理表を作る必要はありません。
大切なのは、毎月同じ基準で数字を入力し、比較できる状態を作ることです。
経営数値は、一度だけ見ても判断しにくいものです。3か月、6か月、1年と継続して記録することで、事務所の強みや課題が見えてきます。
STEP1 案件ごとに売上・入金・経費を入力する
STEP2 月別に売上・利益・案件数を集計する
STEP3 業務別・紹介元別に収益性を確認する
STEP4 低単価案件や負担の大きい業務を見直す
管理表づくりや経営ダッシュボードの作成が苦手な場合は、ココナラなどでExcel・スプレッドシートのテンプレート作成を依頼する方法もあります。自分で一から作るより、最初の型だけ外部に整えてもらうと、その後の管理が続けやすくなります。
Q&A|経営数値の見える化とコンテンツ品質の関係
- 会計ソフトを使っていれば、Excel管理表は不要ですか?
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必ずしも不要ではありません。会計ソフトは正確な会計処理や決算資料の作成に向いています。一方で、Excelやスプレッドシートの管理表は、案件別・業務別・紹介元別など、事務所独自の経営判断に使いやすいというメリットがあります。両方を目的に応じて使い分けるとよいでしょう。
- 売上だけを見ていれば十分ですか?
-
売上だけでは不十分です。売上が増えていても、外注費、広告費、移動時間、作業負担が大きければ、利益が残りにくい場合があります。売上、利益、案件数、平均単価をあわせて見ることが大切です。
- 行政書士事務所では、どの数字を最優先で見るべきですか?
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まずは「月別売上」「入金額」「利益」「案件数」「平均単価」の5つです。余裕があれば、業務別売上や紹介元別売上も確認すると、今後どの業務に力を入れるべきか判断しやすくなります。
- ブログ記事やホームページ運営にも経営数値は関係ありますか?
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関係あります。たとえば、どの記事から相談が来たのか、どの業務ページが受任につながったのかを記録しておくと、Web集客の改善に役立ちます。検索順位やアクセス数だけでなく、実際の問い合わせ・受任・売上まで見ることが重要です。
- インデックス減少が起きた場合、技術的エラーだけを疑えばよいですか?
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技術的エラーが原因の場合もありますが、近年はコンテンツの品質判断によって、検索エンジンに評価されにくくなることもあります。単に記事数を増やすのではなく、読者の悩みを解決し、具体的な行動につながる質の高いコンテンツを作ることが大切です。
経営管理表は、事務所の数字を確認するだけでなく、Web集客やコンテンツ制作の改善にも役立ちます。
どの記事から問い合わせが来たのか、どのサービスページが受任につながったのかを記録しておけば、単なるアクセス解析ではなく、売上につながるコンテンツ改善ができます。
行政書士事務所のブログでは、専門性だけでなく、読者が安心して相談できる分かりやすさも重要です。
数字を見ながら、反応のある記事、問い合わせにつながる記事、改善が必要な記事を把握することで、事務所経営とWeb運営を一体で改善していけます。


まとめ|経営数値を見える化すると、事務所経営の判断がしやすくなる
行政書士事務所の経営管理は、最初から難しい分析をする必要はありません。
まずは、売上、入金額、利益、案件数、平均単価をシンプルな管理表で見える化することが大切です。
Excelやスプレッドシートで管理を始め、必要に応じてクラウド会計ソフトや外部サービスを活用すれば、一人事務所でも無理なく経営数値を把握できます。
また、経営数値を記録しておくことで、どの業務に力を入れるべきか、どの集客方法が効果的か、どの記事が問い合わせにつながっているかも見えやすくなります。
事務所経営もWeb集客も、感覚だけで続けるのではなく、数字を見ながら少しずつ改善していくことが大切です。
行政書士ツールラボ数字の管理は難しく考えすぎなくて大丈夫です。まずは毎月の売上・利益・案件数を見える化し、事務所の安心材料を少しずつ増やしていきましょう。








