家族経営で行政書士事務所を回すコツ:役割分担とルール作り(感情でもつれない運営術)

家族経営は、少人数でも「対応速度」と「固定費の軽さ」を両立できる一方、ルールが曖昧だと感情のもつれで一気に崩れます。行政書士事務所は守秘義務個人情報(マイナンバー等)も扱うため、「家族だから」で済ませない設計が重要です。
この記事では、家族が事務・電話対応を手伝うケースを想定し、役割分担・給与(考え方)・運営ルール・トラブル回避策を具体例で整理します。

目次

まず決めるべき「家族経営の前提」3つ(揉めない土台)

前提①:家族=スタッフではない(役割を明文化)

家族でも、業務上は「担当者」です。
担当が曖昧だと、ミスの原因が不明になり、感情論になりやすいです。

前提②:行政書士にしかできない領域を線引きする

家族に任せて良いのは、原則として「定型・受付・整理・連絡」。
判断や法的説明、受任可否の判断、重要書類の最終確認は、行政書士本人が持ちます(責任所在を明確化)。

前提③:家族経営の敵は“その場の善意”

「今日だけお願い」が積み重なると、際限なく業務が増えます。
ルール=家族関係を守るための装置と捉えるのがコツです。


役割分担の設計図(おすすめの分け方と具体例)

役割分担は「業務を4つ」に分けると整理しやすい

  1. フロント(受付・電話・一次対応)
  2. バック(書類の整形・発送・スキャン・台帳)
  3. 管理(入金確認・進捗・期限・ファイル管理)
  4. 専門(判断・作成・説明・最終チェック:行政書士)
家族に任せやすい業務(例)
  • 電話の一次受け(用件の型を決めて聞く)
  • 面談日程の調整、リマインド送信
  • 必要書類のチェックリスト送付
  • 書類のスキャン、PDF化、ファイル命名、フォルダ格納
  • 郵送・レターパック管理、発送控えの保存
  • 進捗表の更新(「いつ・何を・誰が・次に何を」だけ)
行政書士本人が握るべき業務(例)
  • 受任可否の判断(利益相反・難易度・期限)
  • 法的説明、リスク説明、重要事項の確認
  • 申請書・契約書などの最終版の確定、押印依頼の最終確認
  • 顧客情報の取扱いルール決定、アクセス権限設計

家族に“判断”をさせない
「たぶんOK」「この書類で足りるはず」などの判断が混ざると、ミスの温床になります。
家族の負担も増え、関係も悪化しやすいです。


家族が手伝う場合の「必須ルール」10項目(揉める前に先回り)

ルール①:指示は口頭禁止(必ず“文字”で残す
  • チャットやタスクに「期限・成果物・優先度」を残す
  • “言った/聞いてない”を消すだけでストレスが激減します
ルール②:電話対応は「台本+記録」がセット
  • 受付用のヒアリング項目を固定(氏名・連絡先・用件・希望期限・紹介元 等)
  • 折り返し基準(即答しない)を明記

電話一次受け(例)
「担当が確認して折り返します。差し支えなければ、(1)お名前 (2)ご連絡先 (3)ご用件 (4)ご希望期限 を教えてください。」

ルール③:顧客情報のアクセス権を分ける(守秘・個人情報)
  • 共有ドライブでも「全フォルダ丸見え」は避ける
  • “担当案件フォルダのみ”アクセスなど、範囲を限定
ルール④:ファイル命名・保存先を統一(検索できる仕組み
  • 例)2026-01-15_顧客名_案件名_書類名_v1
  • どこに保存するか迷う運用は、必ず破綻します
ルール⑤:チェックは“二重化”より“責任を一本化
  • 家族がチェック→行政書士が最終チェック
  • “全員が確認したつもり”が一番危険です(責任者を明確に)
ルール⑥:稼働時間と連絡時間を決める(家庭に侵食させない)
  • 例)連絡は平日9–17時、緊急の定義を決める
  • 家庭の会話が仕事に乗っ取られるのを防ぎます
ルール⑦:給与・謝礼は「考え方」だけでも先に決める
  • 家族でも“無償の善意”は長期的に崩れやすい
  • 具体的な処理(給与・外注・経費など)は、状況により異なるため税理士・社労士へ確認が安全です(業際・適法性の観点でも)。
ルール⑧:ミスの扱いは“人格”ではなく“仕組み”で直す
  • 「誰が悪い」ではなく「どの工程で防げたか」を記録
  • ルール・チェックリスト・テンプレの改善に回す
ルール⑨:クレーム・強い口調の相手は“即エスカレーション”
  • 家族に心理的負担を背負わせない
  • 行政書士本人が引き取る基準を明文化
ルール⑩:毎週10分の“運営会議”で小さく修正
  • 進捗/詰まり/改善案を3点だけ
  • 大会議にしないのが継続のコツ

家族経営オペレーションチェックリスト

  • 役割(受付/事務/管理/専門)を紙1枚に明文化した
  • 電話一次受けの台本とヒアリング項目を作った
  • 折り返し基準(即答しない)を決めた
  • 顧客フォルダのアクセス権を案件単位にした
  • 命名ルール/保存ルールを決めた
  • “最終責任者=行政書士”を全員が理解している
  • 稼働時間/連絡時間/緊急定義を決めた
  • 週10分の運営会議(改善)を予定に入れた

書籍&ツール紹介

  • Dropbox(クラウドストレージ):スキャンPDFの共有、履歴管理、外出先対応に強い。家族と共同でも“フォルダ権限”を設計しやすい。


よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

地方在住の行政書士。令和4年の開業以来、事業者・不動産関連の許可申請を中心に、年間150件以上の案件に対応。ひとり事務所ながら、スピードと信頼性を両立した実務力で、地域の信頼を獲得。
「行政書士|ツールラボ」監修

目次