法人登記が完了すると「設立した=終わり」ではなく、各種届出・契約・運用ルールの整備が一気に必要になります。特にひとり法人(社長1人、従業員なし)は、後回しにすると「口座が作れない」「請求書が出せない」「社会保険・税務が混乱する」など実務で詰まりがちです。
この記事では、法人設立後の手続きをチェックリスト形式で整理し、行政書士目線で“抜けやすいポイント”をわかりやすく解説します(株式会社/合同会社どちらでも概ね共通)。
※税務・社会保険・労務は、状況により提出書類や期限が変わります。最終判断は税理士・社労士・年金事務所・税務署等で確認してください。
まず最初の「登記完了直後」にやること
法人設立後に最優先で整えるべきは、
①法人の証明書類、②銀行・決済、③印鑑まわりです。
ここが遅れると、契約・支払い・請求が止まります。
- 履歴事項全部証明書(登記事項証明書)を取得(複数部あると便利)
- 印鑑証明書(会社)を取得
- 会社実印・銀行印・角印の準備(運用ルールもセットで)
- 定款・設立時議事録等の原本管理(スキャン保管も)
- 事業用メール、電話番号、住所表記の統一(名刺・HP・請求書でズレないように)
- 登記完了
- 証明書取得
- 口座/決済
- 契約・請求の発行
法人設立後の届出チェックリスト(税務・自治体・社会保険)
法人設立後の届出チェック(代表例)
| 区分 | 提出先 | 代表的な届出・手続き | ひとり法人での注意点 |
|---|---|---|---|
| 税務(国税) | 税務署 | 法人設立届出書/青色申告の承認申請/給与支払事務所等の開設届 など | 役員報酬を払うなら「給与」関連の届出が絡みます |
| 税務(地方税) | 都道府県税事務所・市町村 | 法人設立(設置)届出書 | 自治体ごとに様式・添付が異なりやすい |
| 消費税 | 税務署 | 課税事業者・免税の判定により各種届出 | 事業形態・売上見込みで要否が変わるため要確認 |
| 社会保険 | 年金事務所 | 健康保険・厚生年金の新規適用/被保険者資格取得 | 役員1人でも原則対象になりやすく、例外判断は要確認 |
| 労働保険 | 労基署・ハロワ | 労災・雇用保険 | 従業員なしなら通常は対象外(ただし実態で変動) |
| 許認可・登録 | 官公庁/自治体 | 許可名義変更、営業所・代表者変更の届出 | 「個人→法人」で名義切替が必要な業種は多い |
“個人で動いていた許認可・契約”の名義が、法人化でズレるのが一番危険です。
建設業許可、産廃、古物商、不動産関連の届出・登録などは、要件や扱いが分かれやすいため、名義・代表者・営業所住所の整合を早めに点検してください。
社内整備(ひとり法人でも必要)—「契約・お金・ルール」を先に固める
ひとり法人は、実務が回り始めると整備が後回しになりがちです。
最低限ここだけは押さえると、トラブルと手戻りが減ります。
契約・取引まわり
- 取引基本契約/業務委託契約/秘密保持契約(NDA)などのひな形整備
- 見積書・請求書・領収書の様式統一(会社名、住所、登録番号等)
- 取引条件(支払サイト、振込手数料、検収、キャンセル)の明文化
お金の流れ(会計・請求・証憑)
- 法人口座、クレカ、引落口座の整理(私用と混在させない)
- 経費精算ルール(誰がいつ、何を証憑として残すか)
- 電子データ保存(メール請求書、PDF領収書など)の保管ルール
※電子帳簿保存法は「要件」が絡むため、運用開始前に方針を決めるのが安全です
- ひとり法人でも社内規程って必要?
-
大企業ほどの規程は不要ですが、「経費の扱い」「契約の承認(自分でも手順化)」「データ保管」だけは、最低限ルール化すると後で自分が助かります。
- 役員報酬っていつ決めるの?
-
期限や税務上の取扱いが絡むため、税理士に早めに確認するのが安全です(後から変えると不利になるケースがあります)。
時短・外注の考え方
- 会計:クラウド会計で、入出金・請求・証憑整理を早期に仕組み化(例:マネーフォワード クラウド会計)
- 知識の底上げ:会計が苦手なら、最初に“全体像”だけ掴む
- 書籍:会社は「本」で強くなる マネーフォワード 全社で取り組む「読書経営」
- 書籍:世界一やさしい 会計の教科書 1年生
- 外注:ロゴ・名刺・バナー・LP、簡単な事務作業は、必要な範囲だけ外注して前に進める(例:ココナラ)
行政書士ツールラボ法人化直後は手続きが多く不安になりがちですが、道具や本、外注も上手に使えば十分回せます。無理せず一つずつ整えていきましょう。

















