行政書士のためのパスワード管理ツール入門

目次

行政書士のためのパスワード管理ツール入門(導入編)

なぜ「パスワードを覚える運用」が危険なのか

行政書士業務は、官公庁サイト、顧客管理、クラウド会計、メール、ファイル共有など「ログインが多い」=「漏えいリスクが高い」業種です。
紙のメモ・Excel管理・ブラウザ任せ(自動保存だけ)だと、次の事故が起きやすくなります。

  • 使い回しで“1つ漏れたら全滅”
  • 退職・外注終了後もアクセスできる(権限剥がし漏れ)
  • 共有が口頭・チャットになり履歴が残らない/誤送信
  • フィッシングで奪われる(偽サイトに入力してしまう)
パスワードマネージャーでできること
  • 強力で長いパスワードを自動生成(人間が覚えなくて良い)
  • サイトごとに別パスワード(使い回し防止)
  • 入力(自動入力)で打ち間違い・覗き見を減らす
  • “共有”を仕組み化(誰が・何を・いつ使えるかを管理)
  • 二要素認証(2FA)とセットで防御力UP

ツール選びと導入手順(個人→事務所へ拡張できる形)

ツール選びのチェックポイント(行政書士向け)

最低限、次を満たすものを選ぶと“やり直し”が減ります。
  1. マスターパスワード+2FA対応(最重要)
  2. 共有(Vault/保管庫)と権限管理(所員・外注の出し入れ)
  3. 端末紛失時の対策(ロック・遠隔対応・復旧手順)
  4. 監査性(誰が共有に入っているか確認できる)
  5. 運用しやすさ(入力が楽=定着する)

導入の最短ステップ(まず“事故を止める”)

STEP
マスターパスワードを強くする
  • 推測されにくい長さ(短い単語は避ける)
  • 他サービスと使い回さない
  • 可能なら“覚えられる長文”型にする(例:意味のない複数語+記号)
STEP
二要素認証(2FA)をON
  • パスワードが漏れても、2FAがあれば突破されにくくなります
  • SMSより認証アプリ・物理キーのほうが一般に強い(ただし運用優先でOK)
STEP
重要アカウントから登録
  • メール(最優先)→クラウドストレージ→会計/請求→官公庁関連→SNS/その他
  • まず“影響が大きい順”に10件だけでも移行する
STEP
パスワードを全部“生成”に切り替える

既存の弱いパスワードは順次、ツールで生成して置換

ツール例(中立に知っておく枠)

  • ソースネクスト経由で導入できる 1Password のようなパスワードマネージャー
    → “共有・権限”まで考えるなら、個人用よりチーム運用前提の設計のものが扱いやすいです。

事務所内の共有ルール

共有の基本原則(所内トラブルを防ぐ)

  • 共有は“人に渡す”ではなく“保管庫に権限を付ける”
  • 最小権限(必要な人に、必要な期間だけ)
  • マスターパスワードは絶対共有しない(ここを破ると全崩壊)
  • 退職・外注終了=即日で権限停止(棚卸しをルール化)

おすすめの共有設計(例:保管庫/フォルダの切り方)

所内共通回線/ルーター、共有メール、ドメイン、会計、クラウド保管庫
案件別顧客ごと(または案件種別ごと)に分け、担当者だけ入れる
外注用外注が触る範囲だけの保管庫(期限付き・最小権限)
個人個人の私用アカウントは入れない(混ぜない)
【共有ルール案】
  1. 共有情報はパスワードマネージャーの保管庫で管理し、口頭・チャットでの送付は原則禁止。
  2. マスターパスワードおよび復旧情報(緊急用コード等)は共有しない。
  3. 権限は最小限とし、担当変更・退職・外注終了時は当日中に権限を削除する。
  4. 重要アカウント(メール、クラウド、会計、官公庁関連)は二要素認証を必須とする。
  5. 年1回以上、共有メンバーと保管庫の棚卸し(アクセス権限点検)を実施する。

端末・マルウェア対策と“紙の最後の砦”

パスワードだけ強くても、端末が感染すると負ける

フィッシングやマルウェア(情報を盗む不正プログラム)対策は、パスワード管理とセットで考えると事故が減ります。

  • OS/ブラウザ更新を止めない
  • 不審な添付・リンクを開かない(「急いで」系は要注意)
  • セキュリティソフトを導入し、定義更新を自動化する
    • 例:ESET のようなエンドポイント保護
  • “最後の砦”として、紙・オフライン保管も用意する(ただし扱いにルールが必要)

“持ち出しデータ”の考え方(USBは便利だが危険もある)

外出先でPDFや申請データを持つ必要がある場合、暗号化(中身を読めない状態)が重要です。

  • 例:バッファローの強制暗号化タイプUSBのように、紛失時の被害を抑える選択肢があります。
    ※ただし、USBは「紛失・置き忘れ」が起きやすいので、保管・持ち出し・返却のルールが前提です。

よくある質問(FAQ)

ブラウザのパスワード保存だけで足りますか?

個人用途なら一部は有効ですが、事務所の“共有・権限管理・棚卸し”には不十分になりがちです。

所員に共有するとき、パスワードを送ってはいけませんか?

原則は避けたいです。送るほど“複製”が増え、回収できなくなります。保管庫の権限付与で管理します。

2FAを入れると面倒では?

多少の手間より、乗っ取り復旧の手間(顧客対応含む)のほうが圧倒的に重いです。重要アカウントから段階的に。


行政書士ツールラボ

パスワード管理は「面倒を減らす仕組み」です。無理なく続く形で整えると、安心して本業に集中できます。

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この記事を書いた人

地方在住の行政書士。令和4年の開業以来、事業者・不動産関連の許可申請を中心に、年間150件以上の案件に対応。ひとり事務所ながら、スピードと信頼性を両立した実務力で、地域の信頼を獲得。
「行政書士|ツールラボ」監修

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