行政書士事務所でよくあるのが、「顧客台帳(スプレッドシート)」と「会計ソフト」へ同じ内容を二重入力しているパターンです。
本記事では、見積書 → 請求書 → 入金消込 → 領収書発行をテンプレートと番号ルールで標準化し、CSV連携やノーコード自動化ツール(Zapier/Make的なワークフロー)の考え方で“一筆書き運用”にするための設計を解説します。
なぜ二重入力が発生するのか?フローを分解して見える化する
行政書士の請求フローを分解すると、だいたい次のようになります。
- 見積書を作成してPDF送付
- 受任・金額確定後に請求書を作成
- 振込や入金を銀行口座で確認
- 顧客台帳に入金状況をメモ
- 会計ソフトにも売上として登録
- 必要に応じて領収書を発行・送付
このとき、
- 顧客台帳:スプレッドシートや自作台帳
- 会計:市販の会計ソフト
- 見積・請求:Word/Excel/PDFテンプレ
…と、ツールがバラバラだと、同じ金額・同じ顧客名を何度も打ち直すことになります。
- 見積書:Excelで作成
- 請求書:別テンプレで作成
- 入金:Excel台帳にチェック
- 会計ソフト:別途仕訳入力
対策の方向性はシンプルで、
「見積番号=請求番号=台帳のキー」になるように設計し、
一つのデータを元に下流の帳票を自動生成することです。

テンプレ+番号ルールで“ひとつの案件ID”に束ねる
まずはテンプレートと番号ルールを整えるだけで、手入力の手間がかなり減ります。
案件ID(キー)のルールを決める
例:YYYY-分野コード-連番
- 2025-BK-001(BK=建設業許可)
- 2025-AG-003(AG=相続・遺言)
この案件IDをすべての帳票に共通して使うのがポイントです。
| 帳票 | 記載するID例 |
|---|---|
| 見積書番号 | 2025-BK-001-Q(Q=Quote) |
| 請求書番号 | 2025-BK-001-I(I=Invoice) |
| 領収書番号 | 2025-BK-001-R(R=Receipt) |
| 顧客台帳の案件ID | 2025-BK-001 |
こうしておけば、
どの帳票からでも「案件ID」で紐づけて追いかけられます。
テンプレートの必須項目を統一する
見積書・請求書・領収書で、以下の項目名を揃えておくと、
CSV変換や会計連携がしやすくなります。
- 案件ID
- 顧客名
- 顧客コード(任意)
- 発行日
- 金額(税込・税抜)
- 支払期日
- 支払方法(銀行振込/現金など)
Excel/スプレッドシートで「見積・請求・領収」を1シートにまとめる
種別(見積/請求/領収)は列で管理し、フィルタで絞り込み
CSV連携とノーコード自動化ツールの考え方
基本のデータフロー(イメージ)
- 見積・請求台帳(スプレッドシート)をマスタにする
- 台帳からCSV出力
- 会計ソフト・売上管理システムにCSVインポート
- 銀行の入出金データ(CSV)と突合して入金消込
- 必要に応じて領収書PDFを自動生成
ノーコード自動化ツール的ワークフロー(Zapier/Make的な考え方)
具体的なサービス名にこだわらず、考え方としては:
- トリガー(きっかけ)
例:スプレッドシートに新しい「請求」行が追加された - アクション(自動実行)
例:
・その内容を基に請求書PDFを生成
・会計システム用CSVに自動で追記
・顧客に「請求書発行のお知らせ」メール下書きを作成
といった処理を、
「ドラッグ&ドロップでつなぐノーコード自動化ツール」で組み立てるイメージです。
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行政書士どちらも一般的な業務自動化の考え方を学ぶのに向いていて、
特定業種に依存しない内容なので、行政書士にも応用しやすいです。
入金消込と証憑管理:紙とデジタルを“セット”で考える
自動化しても、最後は「入金されたかどうか」の確認と、
証憑(領収書・通帳コピーなど)の保管が必要です。
入金消込のシンプルな運用例
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ① 銀行明細をCSVでダウンロード | ネットバンキングから月次または週次で取得 |
| ② 見積・請求台帳と照合 | 案件ID・金額でVLOOKUP/フィルタ照合 |
| ③ 入金済フラグを更新 | 「入金日」列に日付を入れるだけ |
| ④ 会計ソフトに反映 | ①のCSVを会計ソフトにインポート |
台帳と会計で同じCSVを使い回せば二重入力は発生しません。
領収書・証憑の保管ツール
紙とデジタルをセットで管理するために、
物理保管用+デジタル保管用の両方を整えるとミスが減ります。
・「案件ID」でフォルダを分けると、後から探しやすい
・紙の領収書にも、プリンタで印刷した案件IDラベルを貼っておくと台帳と紐づく
まとめ|“一筆書き”にできれば経理はぐっと楽になる
案件IDを起点にテンプレと番号ルールを揃え、
CSV連携とノーコード的ワークフローで「一筆書き」にすることで、
- 請求漏れのリスク低減
- 入金確認の時間短縮
- 会計入力の手間削減
といった効果が期待できます。
- 案件ID(見積・請求・領収共通)のルールを決める
- 見積・請求テンプレの列名を統一する
- CSV出力→会計ソフト取込の流れを1回テストする












